コンテンツへスキップ

シチリア「シラクーサ」で出会った 母と子

シチリア、シラクーサで撮影した母子
Siracusa/Sicilia/ITALIA

小さいころは 甘え
大きくなって 抗い
離れれば かけがえなく


シラクーサはシチリア(Sicilia)の南東部にある町。様々な資料に、ギリシア時代に大変栄えたという記述がある。

古代ギリシアの数学者アルキメデスが生まれた町と聞けば、「アルキメデスの原理」がどういうものだったかすぐに思い出せなくとも、何となく、歴史ある重要な町として、訪ねなければならないような気がしてくる。

街はシチリア島の本土側と、本土から少しだけ離れた小さな島「オルティジャ」(Isola di Ortigia)とに広がっている。

本土側には、イタリア鉄道(Trenitalia)の駅があり、イタリア全土の主要都市と繋がっている。
また、駅のすぐ近くにはバスターミナルがあり、カターニア(Catania)やパレルモ(Palermo)からのバスがここで発着するなど、町の玄関口となっている。

考古学に興味のある方は「パオロ・オルシ州立考古学博物館」(Museo Archeologico Regionale Paolo Orsi)を見学するのがいいようだ。
私は訪ねたことはないが、規模が大きくとても充実しているらしい。

さらに、円形闘技場(Anfiteatro Romano)やギリシア劇場(Teatro Greco)など、見ごたえある古代遺跡も本土側にあり、これらは観光ポイントとして欠かせない。

おすすめは オルティジャ島の散策

もし旅程に余裕があるなら、本土側ではなく、オルティジャ島での滞在をお勧めする。

島はそれほど大きくはない。有名どころだけをかいつまんで観光するなら半日で回れるだろう。しかし、できれば丸一日を過ごしてみるのが面白い。

リゾート観光地のような雰囲気を醸す地区もあるのだが、一方で、味わい深い小路の入り組んだ庶民的な界隈も多く、ぶらぶら歩くのがとても楽しいのだ。

朝、大きな篭を持って市場へ出かける人たちとすれ違い、「Buon Giorno!」「Ciao!」などと笑顔で挨拶を交わし、夕方になれば、窓辺から漏れる柔らかな灯りと共に、カチャカチャと鍋や食器のぶつかる夕餉サウンドに旅情が掻き立てられる。

そして、島自体が小さいので、ヴェネツィア(Venezia)などのように迷子になる心配もない。

ただ、どこの街でもそうだが、本能的に危険を感じるような路地には入らないことと、住人の生活を優先し尊重することは、忘れてはならない。

大人になった今「子の思い」を 思う

さて、冒頭の写真だが、オルティジャの東側の路地を散策していて出会った母と子である。

おそらくランドリーからの帰りだろう。何かが欲しいと泣きながら訴え続ける息子と、彼をなだめすかしながら家路を急ぐ若い母親。
二人の声が、薄暗く狭い路地に反響している。
路地の向こうに開けるのはイオニア海。

どこの国でも、同じような光景を目にすることがある。
そしてその度に、私も幼いころ、あの子と同じようなことをしていたのだろうか・・・と、故郷を思ってみたりするのである。