ルルドのサンクチュアリ(聖域)には、夜になってもたくさんの人が訪れている。
冒頭の写真は、前々回の記事にも登場した、奇跡の泉が湧き出るマッサビエル洞窟(Grotte de Massabielle)の内部から外を眺めた様子。
たくさんの人たちが祈りを捧げている。
長い列に並んで、洞窟の中の 泉のそばに 立ち入ることができるのだが、このとき 私は、洞窟の外の 祈りを捧げる人たちの姿や、その空間に漂う荘厳な雰囲気に圧倒され、肝心なことを忘れていた。
ルルドの泉が 洞窟の中で どんな風に湧いているのか、その様子を見逃してしまったのだ。
ああ・・・。
奇跡を起こす「ルルドの泉」のいわれ
その ルルドの泉だが、
聖母マリアの姿を何度も目撃した少女に、マリアが伝えた場所から湧き出たと伝わっている。
要約すると―― 1858年2月11日。14歳の貧しい少女ベルナデット(Bernadette)がマッサビエル洞窟の近くで薪拾いをしているとき、聖母マリアの姿を見る。
その後、18度にわたり彼女は聖母出現を目にすることになるのだが、その9回目、マリアから 泉の湧く場所 を告げられ、「泉の水を飲みなさい。泉の水で洗いなさい」と言われる。
お告げのあった場所を ベルナデットが探ると、マリアの言葉通り 泉が湧き、その水で 病気を患った人が患部を洗ったり、飲んだりすると、病が癒える奇跡が起こった。
――ということらしい。
ところで、少女ベルナデットが聖母マリアを見たとき、一緒にいた他の人たちにマリアの姿は見えなかったらしい。
つまり、通常 見えないものが、彼女には見えたということになる。
見えないものが見えてしまう。これはある意味怖いこと。
しかし、彼女にそんな感情は生まれなかったのではないか。むしろ、とても幸せな気持ちになったのだろう。
というのも、、、
今ここに集う人たちの表情が、とても穏やかで 幸せそうなのだ。
そんな中、一日を締めくくる蝋燭行列(La Procession Mariale)が動き出す。
<つづく>