プーリア州の州都バーリ(Bari)の西およそ55㎞。
広大な田園風景が広がるアルタ・ムルジャ国立公園(Parco nazionale dell’Alta Murgia)北端の緩やかな丘の上にその城はある。
城にも色々あるけれど、はたしてこれを城と呼んでよいのか、そう感じてしまう不思議な建物。
13世紀半ばに、ローマ皇帝のフリードリヒ2世(フェデリコ2世/Federico II)が建てたということだが、見たところ、「戦いのための」というのでもなさそうだし、「住まい」にするには、ちょっと物足りない。
実際問題、何のために造られた城なのか よくわかっていないらしいのだが、私が勝手に想像するのは「壮大な秘密基地」説だ。
年代や、育った地域、環境にもよるが、
私たちが子供の頃、近所の林の中や、空き地の土管に「秘密基地」なるものを作った男子は多い。
ゲームや小道具を持ち寄って仲間と遊んだり、虫取りなど自然と戯れる研究拠点にしたりして利用していた。
木箱を用意するなどし、家へ連れて帰ることの叶わない、捨てられていた仔犬や子猫の世話をした 優しき少年少女もいただろう。
フリードリヒ2世さんも偉い人とはいえ人の子だ。しかも男子。
権力があるので、それなりのモノを作ることができる。
そして、おそらく学識があり、キチンとした性格の人物ではなかったか。
建物の形を見れば、何となく想像がつく。
横から見ている分には判らないが、城を真上から見ると、きっちり八角形に造られている。
また、その正八角形の八つの角それぞれに、正八角形の小塔が配置されている。
そして中庭も また正八角形。
この基地を使い、居城ではできない遊びや自然観察、勉強や何かの試みなど、様々な楽しみを行ったのではないか。
数字の8を美しく城に溶け込ませる建築自体も楽しみながら・・・。
と、ここで気がついた。
「カステル・デル・モンテ=秘密基地」説を思い切って唱えてみたが、秘密基地は「秘密」でなければいけないのだった。
ここはなだらかな丘の上。周辺地域を見下ろしても、何もない。
茂みの中に隠されているわけでもなく、サンダーバードの基地のように地下にあるわけでもない。
この城は 傍からチョー丸見え。とても秘密には できそうもない。。。
私が立てた説は、あっけなく崩れ去った。