ブレストの街はポンフェル川(Le Penfeld)の両岸に広がっている。
街の中心は左岸(東側)にあり、河口に近い ルクールヴァンス橋(Pont de Recouvrance)から、シアム通り(Rue de Siam)、自由広場(Place de la Liberté)、ジャン・ジョレス通り(Rue Jean Jaurès)と、北東方向へ一直線に伸びる通りに沿って、ブティックやカフェ、レストラン、デパートなどが並んでいる。
前回記事で、街歩きに魅力を感じる人は少ないかもしれない、と書いたが、目抜き通りのジャン・ジョレス通りから ちょっと入った、サン・マルタン市場(Halles Saint Martin)の周辺や、その東側にあるゲラン広場(Place Guérin)の辺りは、とてもよい雰囲気だ。
表通りの街並みと異なり、決してお洒落な界隈とは言えないが、古い建物も残っていて、そこに生活する人たちの 素朴な暮らしの一端を感じることができる。
ゆるり歩きながら、その雰囲気に浸るのは心地いい。
また、ブルターニュっぽい スラッとしたデザインの、サン・マルタン教会(Eglise Saint Martin)も、この地方の中心都市の教会として立派で格好がいい(冒頭写真参照)。
ヨーロッパ最大の昇開橋とその周辺
ポンフェル川の両岸を繋ぐ「ルクールヴァンス橋」はヨーロッパ最大の昇開橋として有名だ。
渡ってみると、離れて見ていた時と比べ、ややこじんまりした印象を受けるが、人や車だけでなく、トラムまでが昇開する橋の上を渡っていると思うと何だか面白い。
橋の上や周辺からの眺めはよく、国立海洋博物館(Musée National de la Marine)が入っている かつての城塞や、いかにも戦いのために造られた風貌の タンギー塔(Tour Tanguy)などが目前に見られる。(前回記事の写真をご参照ください)
眼下には、フランス軍のものと思しき船舶も停泊しており、フランス最大級の軍港を持つ町としてのブレストを実感することになる。
また、昔から海軍の要所とされていた町らしく、橋を望むテラスに水夫の像があるのだが、キリッとしたカッコいい水兵さんの姿ではなく、女性に詰められ慌てた表情をしているのがユーモラスでとてもいい。
港には、いろいろな物語がつきものってことですかね。